校長メッセージ

  本校は、遠く会津藩校日新館の流れを汲み、会津地域の高校教育の中心として幾多の有   

 為な人材を輩出し、今年で創立から百三十四年となります。創立以来の卒業生は三万二千

 名を超え、日本国内はもとより、世界を舞台に活躍しています。


  戊辰戦争後に灰燼に帰した会津の地においては、会津地域の再興を担い、明治の新時代

 に即応した人材を輩出するための、高いレベルの教育を求める声が鬱勃として沸き起こ

 り、中等教育機関創立の機運が高まる中、「若松学校」、「福島県二番中学校」、「私黌

 日新館」など様々な前史を経て、明治二十三年四月、本校は、私立会津中学校として開校

 しました。
 

  開校に際しての資本金は、明治天皇からの御下賜金を始め、当時の北会津、南会津、大

 沼、河沼、耶麻のいわゆる会津五郡の人々からの寄付金、旧会津藩士からの士族就産金か

 らの寄付、会津出身の官公庁職員の寄付金などにより賄われました。
 

                本校は、このように、会津に住む人々、そして会津にゆかりのある人々の、教育に対す

               る熱い思いによって作られた学校です。会津の人々にとって、この学校は、未来に希望を

               つなぐ学び舎であったと言っても過言ではありません。尾上柴舟作詞、萩原英一作曲の旧

               制会津中学校校歌の一節に「風も声なき若松の 街の光の我が校舎」とあるのは、本校に

               課せられたそのような役割について、端的に表現したものと言えるでしょう。
 

                以来、本校はこの会津地域にあって営々と、この会津を、この国を、そして世界を支え  

               る人材を育んできました。
 

                本校のその役割はこの令和の時代においても変わりません。
 

                本校に集う会津の若人がこの学び舎において、志ある友と切磋琢磨しながら、知性を磨

               き、豊かな人間性を育て、そして身体を鍛える。専門性豊かで教育愛溢れる教員集団が、

               それに伴走し支えていく。それが本校の目指す姿であり、多くの若者が本校から巣立ち、

               内外で活躍しています。
 

                社会を形成して生存を図ってきた人類にとって、次世代の教育は本質的なものです。そ

               して教育により、子どもたちはより充実した人生を送り、社会は少しでも前に進んでい

               く。私たちの会津高校はそのような学校でありたいとも思っています。
 

                一方、社会は加速度的に変化の度合いを加え、複雑化し、これまでの常識が瞬く間に陳

               腐化する先の見えない状況が、全世界的に生起しています。
                

                これまで歩んできた本校の歴史と、そこに関わった卒業生、教職員、地域の恩人たちの

               営みをしっかりと踏まえながら、アンテナを高くし、風や雲の流れを敏感に察知しなが

               ら、子どもたちがこれからの世界を生き抜くための資質・能力を育てていきたいと考えて

               います。
 

                今後とも会津高等学校へのご支援とご協力をお願い申し上げます。
 

                                     令和6年4月
                                      福島県立会津高等学校長 遠藤 利晴